〔ネタバレあり〕スピッツの「醒めない」のライブに行ってきました!

 

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スピッツのライブに足を運ぶのは一昨年の7月以来2年5か月ぶり、4度目。僕が参戦した長良川国際会議場に足を運ぶのは初であった。久々のスピッツライブということと初めて行く会場ということにわくわくしながら会場に向かった。


ここからはネタバレを含むレポートになりますのでご注意を。
MCに関しては、大雑把には覚えているものの、それがどのタイミングで話していたのかは記憶していないので、ほぼスルーさせていただきます。
開演予定を少し過ぎた頃に会場内が暗転し、「SUGINAMI MELODY」のBGMがかかり、メンバーが登場する。そして、1曲目に演奏されたのがアルバムのリードシングルとなった「みなと」であった。最初からミディアムテンポな曲が演奏される。続いて「恋する凡人」が演奏され会場全体がヒートアップしていく。その勢いを保ちながら「日曜日」へ。まさかの2ndアルバムからの披露ということで驚きと感動に包まれる。打ち込みのイントロが流れ出し「運命の人」へと続き、幻想的な演出効果の中「コメット」が演奏される。

ここで最初のMC。「お忙しい夜にわざわざスピッツのために時間を割いていただきありがとうございます」といったいつもの決まり文句が。MCの後は「チェリー」「ビギナー」と引き続きミディアム調の曲が続き、再びレア曲である「アカネ」が演奏される。

ここで2回目のMCが入り、「アルバムからもたくさんやります」的なことを話し、その中でもアップテンポな「グリーン」「子グマ!子グマ!」を続けて演奏。続いて、20年前の曲である「バニーガール」が演奏され、一気に会場の熱気が上がる。ヒートアップした雰囲気から照明効果が印象的な「ヒビスクス」と一気に落ち着いた曲に続く。

3回目のMCの後は、まったりとした「モニャモニャ」、超有名曲であるミディアム調の「ロビンソン」、名バラードである「楓」と続く。「聞かせる」タイプの曲が続く。「楓」はこの日一番の歓声だったと記憶している。

MCというよりかは煽りに続いて「醒めない」が演奏され、この曲を皮切りにライブ終盤戦の盛り上がりコーナーへ。リーダーの田村のベースが激しくうねりあげる「けもの道」、「トンガリ‘95」「ハチの針」「8823」「こんにちは」と新アルバムの曲と定番の曲を織り交ぜながら観客を一体化させていく。ここで本編は終了。


ここからはアンコール。「魔法のコトバ」が演奏される。そして、メンバー紹介兼MCがこのアンコール部分で入り、一人一人がマサムネと対話しながら喋る。MC後、「ナサケモノ」「野生のポルカ」と続きライブ終了。メンバーがピックやドラムのスティックを客席に投げ、あっさりと退場していく。

 

デビュー25周年の年に敢行されたアルバムツアーということで大きな期待をしていたし、ファンの方の評判も良かったので、セトリに関しては当日までとても楽しみにしていた。実際に、セトリはいつも通りアルバム曲10曲程度と過去曲10曲以上という感じではあったものの、過去曲に関しては、有名曲とレアな曲をうまい具合に織り交ぜていたと思う。「日曜日」「アカネ」なんかはかなりレアな曲で、違う意味で今ツアーの核となっていたような気がする。岐阜会場では演奏されなかった日替わり曲の「夢じゃない」なんかもあまりライブではやってないイメージもあり、セトリ的にとても面白かったのではないのだろうか。
個人的に好きな「バニーガール」や「魔法のコトバ」なんかも演奏してくれて大いに楽しめた。
相変わらずのゆるいMCもとても面白かった。4月に「みなと」でMステに出演した時の出だしのミスの話やBABYMETALに気を遣っていたときの話などもしていて会場の笑いを取っていた。会場によってMCの内容が異なるのも彼らのMCの特徴であろう。
派手な演出効果も煽りもなく、淡々としていて、「バンド演奏」を魅せるスピッツのライブであるが、不思議とまた行きたくなる力を持っている。なかなかツアーをしない上に平日公演が多くて次いつ行けるだろうかと思ってしまうが、また機会があれば行きたい。

祝25周年!!スピッツ『醒めない』を語る

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ブログを開設し、最初の記事を書くにあたって何について書こうか迷った。自分の好きなアーティストについて思う存分語るというのもアリなのでは?と思っていたが、それを最初に書くのはありきたり過ぎると思ったので、最初はアルバムレビューを書こうと決心した。

じゃあなぜスピッツの『醒めない』を選んだのか?まあ単純に今月末にライブが控えていて一度じっくりとこのアルバムに向き合ってみてライブに臨みたいと思ったし、Twitterアカウントでフォローしていただいている方の多くが聴かれているアルバムだからという何の変哲もない理由だ(読んでくださるかは別として)。また、今年はスピッツにとってはデビュー25周年という記念すべき年であるということからタイムリーであるということも理由の一つにある。

早速、アルバムの内容に触れていこうと思い、パソコンの横に雑誌を置いているが、雑誌のことを引用していてはブログの意味がないので、自分が感じ取っていることを素直に書いていく。また、歌詞カードがすぐに見ることができるように、雑誌とともにCDパッケージも置いているが、スピッツの歌詞は難解なので、意味をしっかり解釈せずにフィーリングで聴いていることもあり、あまり歌詞について深く突っ込んで語ることもしようとはしない。そこのところはご理解の程よろしくお願いいたします。

 

前作から2年11ヶ月ぶりに日本の音楽シーンに放たれた今作。この期間にもたくさんの若手バンドが輩出されてきたと思われるが、そんな中でも相変わらずのベテランとしての貫録をしっかりと示した今作。若手バンドによく見られるエモーショナルさも見せ、貫録どころか前作以上の若々しさを感じられるのが今作の特徴。メンバーが「シンプルなロックアルバム」といった発言をしていたが、その発言通り、派手な音作りもない、ストリングスもない、バンドで演奏できる最小限のサウンドがアルバム全体に展開されている。プロデューサーは2002年の『三日月ロック』から6作連続で亀田誠治。個人的には、前作で亀田サウンドは飽和気味になっていたと感じていて、先行シングルの「雪風」「みなと」を聴いたときに過飽和状態になっていてアルバムに過度な期待を持っていなかったが、アルバム曲は音がクリアになっていて(特にドラム音でそう感じた)、グルーヴ感があり、良い意味で期待を裏切られた。『ハヤブサ』期ほどの大きな変化はないものの、プロデューサーの下でこういった変化ができたのはある意味革新的なのではないのか(Mr.Children小林武史時代の末期を聴くとよりそう感じる)。そんなアルバムの曲の方に迫っていこう。


1. 醒めない
タイトルチューンであり、テレビでも披露された。歌詞では過去のことを振り返りながらも、「ロックに出会ったときの感覚からまだ醒めていない」ということを歌っている決意表明的な曲であり、アルバムの1曲目に相応しい。ドラムのイントロから入るあたりロック魂みたいなものを感じ取ることができる。「軽快な曲を1曲目にしたい」という意思で最初に配置されていて、アルバムの象徴となる曲にもなっていて、とても耳に残りやすい。これは25周年という節目であり結成30周年を目前に控えた2016年だからこそ鳴らせた曲なのではないのだろうか。

2. みなと
先行シングル曲。1曲目の軽快さから一転、暗めの曲がこの位置に配置された。どこか“死”を連想するような歌詞で、それに伴い暗めのサウンドが展開されている。前作、「雪風」の延長線のようなサウンドで、今作の中では浮いているような印象が強いが、アルバムのバランスを考えると必要不可欠であるとも捉えられる。個人的には、「醒めない」から「みなと」への流れがとても秀逸であると感じている。最初聴いたときはあまり印象に残らなかったが、次第にこの曲の持つ独特の雰囲気に惹かれていき、今ではけっこう好きな曲になっている。

3. 子グマ!子グマ!
毎回、アルバムに1曲は入っているようなかわいらしいタイトルの曲。前作の「野生のポルカ」のラストにあるような合唱(?)があり、とてもユニーク。歌詞に関してもとてもユニークであるが、正直意味不明。歌詞の意味を解釈せず、楽しい雰囲気を感じ取りながら聴くタイプの曲であろう。最後の「子グマ!」の連呼はどうしても耳に残ってしまう。余談であるが、僕の友人はこの曲を聴いて「変な曲だなあ」と言っていたが、僕も同じ感想を抱いてしまっている(悪い意味ではなく)。

4. コメット
ドラマの主題歌にもなっていたことから、ファン以外の方の耳にも届いたであろう曲。キーボードが際立っているというのはスピッツの曲にしてはとても珍しいのではないのか。簡単に言えば、バラード曲で、スピッツの王道タイプの曲。激しかったりちょっと変な感じの曲が並ぶ中、この曲は自分の中ではとても印象が薄くてあまり聴かないというのが本音である。

5. ナサケモノ
これもよくわからないタイトルの曲であるが、「情けない獣」の略でこのようなタイトルになったという。「情けない獣」という発想自体が彼ららしいと感じる。この曲は生活感漂う音(電子レンジの音や時計の音)を効果音として入れている実験的要素を含んだサウンドが特徴的(最初のゼンマイのような音はベースの田村明浩キッチンタイマーを持ってきてマイクの前で録音したみたいだ)。そのような音作りはどこかSEKAI NO OWARIを彷彿させる。メロディーは単調な感じであるが、おもしろいサウンドが曲を引き立たせているとても印象的な曲である。

6. グリーン
かなり激しい曲で、若々しさを感じさせる。「どん底」や「悩みの時代」といったマイナスな状況から解放されたような歌詞が目立つ。それとは別に、「コピペで作られた 流行りの愛の歌」といった現代の音楽シーンを皮肉ったようなフレーズも印象的。「コピペ」という言葉で表現してしまうあたりから、草野マサムネの“作詞家“としての才能を感じさせられる。個人的に、この曲は今作の中ではダントツで好きな曲であり、1番再生回数が多い。カラオケでも比較的歌いやすく、歌っていてとても気持ちがよい。

7.SJ
ロック度が高いものの、割とスローテンポなロックバラード的な一曲。演奏にはメンバー以外は一切加わっていないみたいなので、純正のバンドサウンドといえる。このようなサウンドの曲が今作に数曲収録されていることもアルバムの特徴で、こういったサウンドは1ファンとしてうれしいものだ。仮タイトルがそのままタイトルになったらしく、タイトルの意味は種明かしされていない。タイトルの意味が分かってない上に歌詞の意味もよくわからないため、何を歌っているのかもわからないが、「夢のかけらは もう拾わない 君と見よう ザラついた未来」という夢ではなく現実を見つめていこうというようなことを歌っている出だしのフレーズが印象的である。

8.ハチの針
またまたユニークなタイトルの登場である。かっこいいギターのリフから始まり、全体的に激しいサウンドが展開されているとてもエモーショナルな曲。Cメロの早口の部分も大変印象に残りやすい。この曲もメンバー以外が演奏には加わっていない。「グリーン」からこの曲までの3曲は非常にロックな曲が並んでいて、しかも、中盤にこの流れを持ってくることによって、アルバムを中だるみさせずに聴かせる構成に仕上げている。

9.モニャモニャ
今作のジャケットの「モニャモニャ(架空上の生き物)」のテーマソングをイメージして作られたという。前曲までの激しさから一転して、とても緩い雰囲気が漂っていて、ここでアルバムの小休止となっているように思える。とてもまったりしているが、不思議とクセになる。これまでの彼らの楽曲を振り返ってみると、このようなタイプの曲はなかったと思うので、新境地の曲なのではないのだろうか。

10.ガラクタ
「みなと」のCW曲。タイトルを象徴するかのような効果音がたくさん入っていて、「ナサケモノ」と同じ系統の曲として、今作を“バラエティ豊かなアルバム”という印象をリスナーに持たせる役割を果たしている。ユニークなフレーズが印象的で拍子抜けするものの、“スピッツらしさ“を感じるメロディーとうまく化学反応を起こし、”変な曲“という印象だけを残していない。

11.ヒビスクス
SUBARUフォレスターのCM曲としてもお馴染みの曲。CMとリンクするような少し幻想的な雰囲気が特徴的。1番はピアノの演奏に乗せて歌われているが、サビからはバンド演奏も加わるという感動的な曲構成となっている(この曲構成はどこか小林武史っぽさを感じさせられるが)。歌詞はけっこう内省的であるものの、過去の過ちから湧き出たマイナス感情から抜け出すために立ち上がろうとしている姿を描いているように思える。スピッツにしては珍しく「恐れるな 大丈夫 もう恐れるな」とストレートな言葉で歌っているところも印象的であった。サビから入るバンド演奏は、アルバムのラストスパートを告げているように感じる。

12.ブチ
2015年のファンクラブイベントで新曲として歌われて、ようやく音源化した曲。実質的にセルフプロデュースの曲で、バンドっぽさがより全面に出ている。ライブで初披露するために製作されたという経緯の曲だからなのか、スタジオバージョンでもライブっぽさが漂っている。この曲は、どの楽器も生き生きとしている印象を受け、セルフプロデュース作品として自由度のある曲になっていると勝手に感じている。

13.雪風
ドラマの主題歌として2015年の春に配信されていた今作の中では最古の曲。前作の延長線上のようなサウンドであるが、タイトルに逆らうような、どこか温かみのある不思議な雰囲気を持っている。歌詞においても同様の雰囲気があり、懐かしさまで感じさせられる。

14.こんにちは
ラスト曲なのに、初めの挨拶をタイトルにする辺りが彼ららしさというか… 最後にこの曲で終わらせて、これからに期待を持たせるといった意図もどこかに含んでいるのではないのか。この曲も、セルフプロデュースで、尚且つバンドの音のみで演奏されており、原点回帰的な意味合いも込められている。スピッツが“ロックバンド“であるということを再認識してアルバムが終わるというこの構成もよく考え込まれていると思う。


“ロックバンド“としての決意表明をしているアルバムであるが故、近年の中では激しい曲が多めのアルバムであったように感じる。いろんなタイプの曲が混在しており、前作までのどこかマンネリ化した状態をこのアルバムでうまい具合に断ち切れたのではないのか。ただ、”ロック”っぽさは強いものの、どこか“ポップ”さも大いに感じられる。ゴリゴリなロックサウンドの曲は一部のみであり、その上クリアで明るいサウンドが展開されていてどこか丸く収まってしまっていることから、“ポップアルバム“という印象も同時に受ける。ロックとポップの線引きは難しいため、この件に関しては強く主張はできないものの、スピッツは”ロックバンド“であるとともに”ポップバンド“でもあるのではないのか、そう感じさせられたアルバムなのであった。
ここで新境地を見せたスピッツ。次に新曲が出るのはいつになるかはわからないが、次はどのような音を鳴らすのだろうか。雑誌のインタビューを読む限りは亀田誠治との共同制作は今後も続いていきそうである。たまには、全面セルフプロデュースのアルバムを制作し、思いっきり針を振り切ってくれてもいいのでは?いろいろな期待もしつつ、レビューを締めさせていただきます。


〔あとがき〕
自分の文章力のなさが原因で支離滅裂な文章になってしまいましたが、最初の記事を書き上げました。次は、Mr.Childrenのライブレポの記事になるかと思います。自由気ままにネタを拾って記事を書くので、アルバムレビューはまた気が向いたときにでも書きます。恐らく、次は違うアーティストのアルバムを取り上げます。